言ってほしくない言葉

中越沖地震の発生から25日が過ぎました。
我が家も昨日、ようやくガスが復旧しましたので、なんとか震災前と同じ生活を送れるようになりました。
お風呂も壁や床のタイルなどがところどころ壊れてはいるのですが、なんとかシャワーだけは台所から使えるように改造して(ちょっと言葉では言いにくいんですけどね)、ステンレスの浴槽にお湯を注いで入浴しています。


そう言えば先日、某ラジオ番組でパーソナリティの女性が、
「被災地の方々は、辛いことがたくさんあるでしょうけど、そんな時ほど笑顔を忘れないでがんばってください」
みたいなことを言っていました。
確かにカッコいい励ましのお言葉です。
でも、辛いときには笑顔なんてつくれませんよ。いくら笑おうとしても、それは無理というものです。
あの震災直後、倒壊した近所の家屋を見ながら、そして散乱した自宅の室内で呆然としながら、先行きに不安を抱えて、本当に辛かったです。
そんな時、どうやったら笑えるのか、教えていただきたいですね。
子どもたちが必要以上に落ち込まないように、「大丈夫、心配いらないよ」って、無理やり笑顔をつくったりしましたけど、内心は将来に怯えていました。
本当に辛い人に、「笑顔を忘れないで」というのは、ちょっと酷な言い方なんだと実感しました。


辛いとき、自分の意志で笑うのはいいのですが、他人から「笑顔を忘れるな」とは言われたくないんです。
ちょっと屁理屈っぽくなってしまってすみません。
でもね、住み慣れた自宅が全壊したり、企業の廃業により解雇されたり、その辛さが、ぼくの何十倍もある人がまだまだいるんです。
「被災地の方々は、辛いことがたくさんあるでしょうけど、そんな時ほど笑顔を忘れないでがんばってください」
これはもうタブーです。