究極の懐メロ

小学館から刊行されている「サライ」、人生に「ゆとり」を感じ始めている中高年の男性を中心に読まれている、なかなか味わい深い雑誌です。
行きつけの美容院に置いてありますので、時々ページをパラパラめくっているのですが、いつか「サライ」を片手にのんびり旅行を楽しめたらステキなんだろうなぁ〜、って、漠然と思いをはせています。

今書店には、フーテンの寅さん(渥美清さん)を表紙にした「サライ」が積まれています。
「『寅さん』を旅する」という特集記事で、映画「男はつらいよ」のロケ地や名産品、料理などをレポートするかたわら、映画の名場面や珍場面の紹介、謎解き、山田洋次監督、倍賞千恵子さんへのロング・インタビューもあったりして、寅さんファンにはたまらない内容です。

ぼくは寅さんに、これといった思い入れはないのですが、書店で手に取りながら、なんとなく懐かしい感覚に取り憑かれてしまいました。
それは「昭和」へのノスタルジーもあったかも知れません。

でも寅さんだけだったら、この「サライ」はそのまま立ち読みしただけで、平台に返したことでしょう。
寅さん以上にぼくの心をつかんだのは、特別付録として付いている「唱歌名曲集CD・全29曲」。
「われは海の子」「背くらべ」など、小学生の頃口ずさんでいた唱歌を29曲、たっぷり1時間分、CDとして聴くことができるんです。
普段の生活を送っていたら、決して唱歌を聴くことなんてないでしょう。
それ以前に、唱歌の存在すら思い出すこともなかったかも知れません。

これはずっごくいい機会かも知れない………、そう思ったぼくは、初めて「サライ」を買いました。
そして自宅に戻るなり、付録のCDを聴きました。

カンペキに時間が止まりましたね。
まさにカンペキです。
サプリメントのように心に栄養が行き渡って、久しぶりに穏やかな気分になりました。
唱歌って、なんか究極の懐メロですね。