決して「いばらない」人生を

片道三車線の、左折用の車線で信号待ちしていたら、隣の車線のクルマがウインカーを点滅させながら近寄って来たんです。
イッセー尾形のコマーシャルで知名度がある、某清掃用具会社のバンでした。
中年のドライバー氏が右手を挙げながら「すみません」と頭を下げて、ぼくの前に割り込みをしようとしていたんです。
ま、それに関しては、持ちつ持たれつですので、気持ちよく入れてあげたのですが、助手席に座っていた若者がよくなかった。
両手を組んで、背もたれにふんぞりかえって、まるでぼくを睨みつけるようにじーっと見ていたんですよ。
なんかすっごく頭に来る態度のでかさでした。
普通なら助手席の人も、頭のひとつも下げるものですが、やっぱ若者の間ではそういった常識が風化しているんでしょうかね。

以前、オダギリ・ジョーが上司役で悪戦苦闘していたライフカードのコマーシャルを思い出しましたよ。

思い出したと言えば、こんなことがありました。
前に務めていた会社で、部下を助手席に乗せてガソリンスタンドに立ち寄った時、
「すみません、ありがとう」
って、スタンドのお兄ちゃんにお礼を言ったんですよ。
そしたら部下の若者は、
「こっちがお客なのにどうしてすみません、なんて言うんですか?」
ってね、とんでもないことを言いやがったんです。
「あのね、もしもスタンドがなかったら、どうやってガソリンを入れるんだ?
ガソリンを売ってくれてありがとう、でいいんじゃないか?
それにあのお兄ちゃんが、もしかしたら俺たちの仕事のお客になる可能性もあるだろ?
いばっちゃダメなんだよ。いばりたかったら人と関わる仕事は辞めるんだな」
そんな説教をしたことがありました。

別に腰を低くして生きることもないけれど、「いばっている」って思われる態度だけは避けたいですね。
前出した某清掃用具会社の若者、あんたのせいで、今後何があっても、ぼくはあんたの会社の製品だけは絶対導入しないと決めました。