江戸川乱歩の復刻版

miyajimac2005-11-28

江戸川乱歩が大正時代に発表した「創作探偵小説集1・心理試験」の復刻版を読みました。
表題になっている「心理試験」を始め、「二銭銅貨」や「D坂の殺人事件」「双生児」などの名作が収録されています。

江戸川乱歩の小説を読んだのは、ポプラ社から刊行された「少年探偵団シリーズ」にワクワクした小学生以来ですので、かれこれ30年以上経ちますね。

それにしても、復刻版というのがこれまたすごいんですよ。
旧仮名遣いの連続で、すべての漢字に仮名がふってあるんです。
「一寸(ちよつと)見たんぢや、普通の二銭銅貨(どうくわ)とちつとも変(かほ)りがないからね。」
とか、
「それは、昨夜松村が一生懸命(しやうけんめい)に研究(けんきう)していた、あの薄い小(ちひ)さな紙切れであつた。」
とか………、くわなり読みにくいのであつた。

印刷の文字も当時の活版印刷が元になっていますので、掠れていて読みづらい箇所もいくつかあるんです。

でもね、なんとなく文字の掠れや、言葉の言い回しの古さが、当時の風景を想像させて、妙にリアルなんですよ。
現代仮名遣いにない独特の雰囲気が、ムンムン漂っているんです。
なんかこの小説を読んでいる時だけ、時間が止まったような気がしました。

興味のある方は、発行元である春陽堂書店のWebサイトをご覧ください。
この会社自体が、すっごいレトロで格調がありますから。ホント、そっちの方がビックリしました。
http://www.shun-yo-do.co.jp/