耐震強度の偽装事件について

姉歯建築士を中心に波紋が広がり、ついには責任のなすり合いをしている耐震強度を偽装した事件。
圧力を受けたとか、かけていないとか、発注した建築主も躍起になって自分の正当性を訴えています。
中には「計画倒産」と言われても否定できないほど無責任な建築主もあったりして、呆れるばかりです。

悪いことと知りながらもついつい誤魔化してしまうってコトは、家庭の中でも、誰もが一度くらいは経験したコトがあるんじゃないかなぁ〜。
例えば大好物のおいしい食べ物があったとして、子どもたちには「これはおとなの食べ物だよ」なんてウソを言いいながら、こっそり奥さんとふたりだけで食べようとしたりしてね。
でも奥さんが、「子どもを騙すのはよくないよ。みんなで一緒に食べようよ」って言ってくれたら、子どもに対する後ろめたさを背負うことなく、家族が円満に過ごせるでしょう。

たぶん姉歯建築士も、最初はそんな軽い気持ちだったんじゃないかなぁ〜。
生活を維持するために自分が冒そうとしている「悪いこと」を、きっと誰かが止めてくれるはずだ………。
そんなせっぱ詰まった気持ちがあったかも知れません。

別に諸悪の根元である姉歯建築士を擁護するワケではないんですが、なんとなく惨めで、同情してしまう部分もあります。
あの淡々とした語り口が、「これでもう悪いコトをしなくてもよくなった………」という、なんか哀しい安堵感のように見えてしまうんですよ。
悪いことをしていた自分を、客観的に論じているような気がします。


誰かが止めてくれれば………。


誰かが止めてくれれば、こんな偽装建築物は設計の段階で被害を抑えられたハズです。
自分のメリットだけを重視した建築主や建築士の責任を100としたら、それ以上の責任が指定確認検査機関のイーホームズにあると思いますね。
虚偽の申請をする方はもちろん悪いですが、それをすんなり認めてしまった検査機関は、その次点ですべての責任を負うべきものと、覚悟しなければいけません。
住民の皆さんやオーナーの方々に対するすべての賠償責任は、検査機関が自ら負うべきです。
そしてその費用を、建築主や建築士に請求すればいいのです。
極論ですが、そこまでの重責を自覚しない機関に、人の命を簡単に左右する検査はしてほしくないですよね。