幻の『アンカー』

先日、図書館で『「千と千尋の神隠し」を読む40の目』(キネマ旬報社・刊)というムックを借りてきたんですよ。
今さら『千と千尋〜』もないんですけど、あの作品がとても大好きで、DVDはもちろん買いましたし、ムックや設定資料など、いろいろコレクションしていたんです。
でも、この『「千と千尋の神隠し」を読む40の目』は、初めて目にしましたねぇ〜。
書店に並んでいたら透かさず購入したに違いない………、と思えるくらい、鋭いコラム(立花隆氏、岩井俊二氏、大林宣彦氏、山田洋次氏など、多彩な著名人による執筆・対談)がたくさん掲載されています。

あ………、今回のテーマはこのムックではなく、巻末に掲載されていた「宮崎駿フィルモグラフィー」についてです。
宮崎監督が少しでも関わった作品の全データを網羅したこの資料集、なかなかおもしろかったです。
『レインボー戦隊ロビン』や『ムーミン』など、意外な作品にも携わっていて、思わずビックリしました。
中でも特にビックリしたのが、1985〜86年にかけて企画された『アンカー』という作品です。
天空の城ラピュタ』の公開前に企画されたこの作品、結局企画倒れになってしまったんですけど、実現していたら凄いだろうなぁ〜、って思えるくらい、とても残念で………、できるコトならせひ完成して欲しかった作品なんですよ。

なんたって、

原作・脚本:夢枕獏
原案・プロデューサー:宮崎駿
プロデューサー:高畑勲
監督:押井守

という、今では信じられないコラボレーションです。
宮崎監督と押井監督がひとつの作品をつくる………、夢のような企画がプランニングされていたなんて、本当にビックリしました。
世の中には、知らなくてもよいコトをひょんなコトから知るハメになり、そのコトが気になって気になって仕方がない、そんなコトも間々あるものです。(ちなみに『風の谷のナウシカ』の脚本は、当初『機動警察パトレイバー』の脚本を書いていた伊藤和典氏も企画段階で参加していたらしいので、宮崎監督と押井監督との縁は、かなり近かったようです)

ちなみにこの『アンカー』について、押井守氏のデータベースを公開しているWebサイトには、こんな記述がありました。
「アンカーとは、ひとりの平凡な男の子が少女を守るため、世の中には知られずがんばる話である」

う〜ん、なんとなく宮崎監督の路線です。
今となっては不可能に近いですが、できることならおふたりのチカラが刺激し合った共作を、なんとか見てみたいと思うばかりです。