信頼関係を拒否した事件

今朝の新聞に、
『ボール当てられ立腹。教師が中2蹴り、左腕骨折負わす』
という記事が載っていました。

兵庫県相生市の市立中学校で起きた事件、その概略は以下の通りです。

体育の授業中、生徒の投げたバレーボールが50歳代の教師に当たった。「わざと当てたのか?」と生徒にたずねたところ、生徒は黙ったまま何も言わなかった。
その無言の行動に腹を立てた教師は、感情の赴くままに生徒を蹴って、ケガを負わせてしまった。
そしてそのあと、生徒はようやく故意ではなかったと弁明した。
教師は生徒の自宅を訪れ陳謝したが、生徒の両親は納得できず、教師を傷害容疑で相生署に告訴した。

というのが、大まかな事件の流れです。
この事件、なんとなく今の日本社会そのモノのような気がしますね。

発端は、生徒の投げたバレーボール。他人にボールを当てたのに、なぜ生徒は素直に謝るコトができなかったのか?
そして教師は、自分より立場の弱い人間に対して、いかなる理由があるにしろ、なぜすぐに暴力を振るってしまったのか?
さらに、コトの発端をよく理解しないまま、親御さんはなぜ教師を簡単に告訴したのか?

素直に「謝る」コトができない、………つまり、人間としての常識を欠いた生徒に、苛立ちを隠せなかった教師の気持ちもわかります。
そして、自分の大切な子どもに骨折を負わせた教師に対する、親御さんの怒り心頭も理解できます。

でも、なんとなくやるせない事件ですよね。
人間同士の信頼関係を正面から拒否しないと実現できない、そんな哀しい事件です。