3年B組金八先生・連行シーンに思う

きのう放送された『3年B組金八先生』。その終盤で、覚醒剤を使用した生徒が、連行されるシーンが流れました。
そのシーンを見ながら、昭和55年に放送された『金八先生』第2シリーズとほとんど同じ演出に、ちょっと苦笑しちゃいましたね。

「腐ったミカン」という言葉が印象的だった第2シリーズのメインテーマは、校内暴力でした。
校内暴力の根底にある「学校(教師)側のずさんな教育姿勢」がピックアップされていて、かなり考えさせられる内容でした。
ひとりの人間としてではなく、ただのモノとして教師たちから扱われて来た生徒たちが、「真実」を求めて起こした反乱。
その反乱に警察が介入し、生徒たちが逮捕されてしまうという展開でした。
スローモーションの演出も素晴らしく、バックに流れる中島みゆきの『世情』も、涙を誘いました。

でも、今回の覚醒剤による連行、同じような演出を施しているのに、なんとなく心に届いてきません。
いかに錯乱していたとはいえ、たかだか中学生ひとりに複数の警官が、「公務執行妨害」の現行犯で手錠をかけたりする過剰な演出。
それ以前に第2シリーズと根本的に違うのが、「正義」と「悪」。
第2シリーズが、本当の「正義」とはなにか、真の教育とはなにか、を問いかける不当に近い逮捕劇だったのに比べ、今回は覚醒剤中毒という、明らかに「悪」が前面に出た、ほぼ正当な連行です。

この正反対の事柄を、同じ演出で見せる必要があったのか、ちょっと疑問を感じましたね。
悪いことをしたために連行されるシーンを、あそこまで美しく見せなくてもよかったんじゃないかなぁ〜。

あのシーンが流れるまでは、金八先生の説得といい、かなり心にジ〜ンと来ていたんですけど………。

でも、第2シリーズを知らない人たちにしてみれば、やはりそれはそれで感動したかも知れません。
第2シリーズがあまりも素晴らしかったので、つい愚痴をこぼしてしまいました。