通りすがりの風景-2-

お昼を食べに出かけたラーメン屋で、突然、
「なにやってんだ、このバカ!!」
という、大きな声が聞こえて来ました。
ラーメンを食べていたお客さんたちが、一斉にその声の主に注目します。
「待ってろと言っただろ、このバカ!!」
その声の主は、周りの目を気にすることなく、再び罵声を飛ばしています。

その罵声を浴びていたのは、五歳くらいの女の子。
そして罵声を発していたのは、30歳くらいのお父さんでした。

どうやら、食事を終えて座敷から降りようとした時、女の子が靴を履くのに焦って、お父さんにぶつかってしまったみたいです。
ま、どこにでもある光景です。

でも、このお父さんの罵声を聞きながら、ふと思い出しました。
それは、先日行われた皇太子さまの誕生日会見で引用された詩です。
あの詩を聞いたとき、目からウロコが落ちましたねぇ〜。

批判ばかりされた 子どもは 非難することを おぼえる

寛容にであった 子どもは 忍耐を おぼえる

安心を経験した 子どもは 信頼を おぼえる

米国の家庭教育学者ドロシー・ロー・ノルトさんの教育書で、あの会見後、問い合わせが殺到し、出版元のPHPでは急遽増刷を決めたという、話題の詩です。

皇太子さまの会見内容と、この詩の全文は宮内庁のWebサイト(http://www.kunaicho.go.jp/koutaishi/denkakaiken-h17.html)で確認することができます。

それにしてもあの言葉たち、本当に強い力を持っていますねぇ〜。
もう少し早く出会っていたら、親として子どもたちに違う接し方ができたかも知れない………、そう思えるくらい心に届きました。
でもよーく考えてみると、そんなに特別な言葉ではなく、ごく普通のことなんですけどね。
そんな普通のことさえ、いつしか見落としたまま親として生きてきたかも知れない………、今さらながらちょっぴり反省しています。