丁寧語の使い方

今日、仕事で取引先に電話したんですよ。

「うちを担当している方のお名前を知りたいのですが、お願いできますか?」

って訊いたら、電話口の相手の男性は、バカ丁寧な口調でこう言いました。

「そちら様を担当しておりますのは、『御社』営業二課の○○でございます。
○○はただ今席を外していますので、戻り次第『弊社』までお電話差し上げます」

…………この人、完全に「御社」と「弊社」を間違えて覚えているみたい。
最初はなんの気なしに受話器を置いたのですが、思い出すうちに気の毒になって来ましたよ。
きっとこの人、今もどこそこの誰かに丁寧な口調で、「御社」と「弊社」を間違えて応対しているんだろうなぁ〜。
あの時教えてあげればよかったよ………。

そうそう、間違えていると言えば、ちょっと前、あるリゾートっぽい観光地で家族とパターゴルフを楽しんだんです。
ひととおりプレーを終えて、クラブとボールを、アルバイトの若者に返そうとしたんですよ。
するとその若者は、ボールを受け取ろうとはせずに

「いただいてくださってけっこうです」

って言ったんです。
ぼくは思わず「は?」って、聞き返しちゃいました。
すると彼は、もう一度こう言いました。

「ですから、いただいてくださってけっこうです」

ぼくは彼の言っている意味がよくわからなかったのですが、そばにいた長男が、「もらってもいいみたいだよ」と言ったので、やっと彼の複雑な丁寧語の意図が理解できました。
たったひとこと、「記念にどうぞ」って言えばいいのに、なんとも遠回しな丁寧語です。

このふたり、なんとなく似ていますねぇ〜。
丁寧語も確かに大切ですが、使い方を間違えると、ムダに相手を混乱させてしまいます。
皆さんもご注意ください。