上越線の各駅停車

昨日放映された『情熱大陸』(TBS系)、政治学者の原武史氏のドキュメンタリーでした。
年齢もぼくに近いので、「どう若者と向き合っていいのか悩んでいる」………その気持ちが痛いほどわかりましたね。

ところで、番組の中で紹介されていたループ式のトンネルや、日本一深い地下のモグラ駅(土合駅)がある「上越線」、ぼくも20年くらい前かな、学生の頃よく利用していたんですよ。
とにかくあの頃は、金はないけど時間だけはたっぷりありましたからね、上野駅を22時30分頃に出発する各駅停車の鈍行(普通列車)で、よく帰省していたんです。
終点(新潟県長岡駅)のひとつ前にある宮内駅で信越線に乗り換えて、ぼくの家(柏崎)に着くのは朝6時30分頃でした。

上野駅から高崎駅あたりまでは、結構乗客の乗降もあるんですが、それを過ぎるとほとんど乗ってくる人もいなくなり、車両の乗客がぼくひとりしかいない、そんな時もありました。
列車の鼓動以外には何も音がしない車内、その車窓に広がる、白々と明けていく朝の景色を見るのが、とても好きでしたね。

自慢というワケではありませんが、その列車を利用していたとき、ぼくはほんの一瞬でも眠ったコトがなかったんですよ。
とにかく目を開けて、今しか見られない景色や乗客の言動を留めて置きたいと思っていたんです。
見るモノ、聞くモノが、何でもいいから、これからの自分にとって、大きな伏線になるかも知れない………って、本気で思っていたんですね。
でも実際は、あんまり参考にはなりませんでしたけど…………。とにかく、あの列車に乗ったという現実だけは、ぼくにとって印象深く残っています。

東京方面に出かける時、今はもう時間を省略させるためにもっぱら上越新幹線を利用していますが、また機会があったら、ぜひ鈍行に揺られて、のんびり生きてみたいですね。
でも………、東京まで乗り換えなしで出かけられる各駅停車は、今はもうないみたいですので、それがちょっぴり残念なりません。