宮部みゆきと正義感

中学生の長男が、宮部みゆきの『ICO』を読んで、ぜひおもしろいから読んでみなよ……と、かなり以前から薦めてくれております。
プレステ2でヒットしたゲームを小説化した、というコトはわかっていましたが、ちょっと厚い。
昔はそれでも結構長編小説を読んだコトがあるんですが、最近は長編よりも短編の方があっさりしていて好きなんです。
やっぱ年を取ると持続力がなくなっちゃうのかなぁ〜。

でもね、数年前、映画の『模倣犯』を見て以来、宮部みゆきという作家には興味があったので、とりあえず『ICO』を読む前のウォーミングアップとして、初期の短編集である『我らが隣人の犯罪』と『人質カノン』の二冊を読んでみたんです。
別にウオーミングアップする必要もないんですけど、やっぱ短編が好きなんですよ。

二冊を読んでみて感じたのは、「理不尽」に対する「正義感」がかなり強いな、ってこと。
ユーモラスであろうが、シリアスであろうが、とにかく読み手を納得させるだけの「正義感」がそこにあるんですね。
これはもう、ぼくの好みです。
小学生の頃、背が低いというだけでいじめに遭ったコトがありますので、それ以来、ぼくの中にもある種の「正義感」みたいなモノが潜在的にあるんですよ。
人のウイークポイントを責めるコトの卑しさ、無抵抗の者を人前でなじるコトの醜さ………。
自分だけはそんな卑しくて醜い人間にはならないぞ、っていう「正義感」みたいなモノが自然と生まれて来たように思っています。
果たしてそれが正しい「正義感」なのかは、正直わかりませんけど………。

たった二冊の短編集で、宮部みゆきという作家の本質に触れるコトはできません。
でも、これからハマっちゃうんだろうなぁ〜。ストーリーもよく考えられていますし。
作家に対してワクワクするのは、村上春樹以来です。

とりあえず、長男が薦めてくれた『ICO』のページをめくってみます。
そこにどんな「正義感」があるのか、ちょっぴり期待しながら。